1-4 灯りの効果 【照明は電磁波である】
光は全て電磁波の仲間です。電磁波というと人間の体に悪影響があるものというように伝えられていますが、波長の長さによって体にとても良い効果のある電磁波もあります。
一般に電磁波は長波長と呼ばれるものから短波長と呼ばれるものまで多くのものが存在し、その中で人間の目に見えるものを「可視光線」と言って長波長と短波長の中間に位置する中波長に当たります。
電磁波を分解した図
可視光線はある程度幅があり380nm(ナノメートルと呼ぶ)~780nmの波長が眼に見えるのですがこの幅を細かく分けると虹の七色になります。つまり780nm辺りは赤色で380nm辺りは紫色の光になるのです。小学生の頃に覚えた「赤橙黄緑青藍紫(せきとうおうりょくせいらんし)」の順番で並ぶ虹色の光が可視光線で通常はこれらが混合されて無色透明に見えているのです。可視光線はすべて同じ明るさで見えている訳ではなく、虹の七色の中で中央に位置(555nm)する黄緑色が最も明るく感じ380nmや780nmに近づくと次第に見えにくくなっていきます。つまり赤い光や紫の光は人間の眼には最も暗く感じてしまいます。そしてとうとう赤い光よりもっと暗くなって見えなくなったところを赤よりも外にあると言う意味で「赤外線」と名付けられたのです。同様に紫の光よりもっと暗くなったところを「紫外線」と呼ぶわけです。したがって赤外線も紫外線も光なのですが目には見えないことから全く別のものとして勉強してきたわけです。
さて可視光線を境にして短波長側は人間の体に悪影響のある電磁波であり紫外線やX線、宇宙線などがそれに当たります。また逆に可視光線より波長の長い電磁波は遠赤外線やラジオ電波など人間の体には効果的な波長であると言うことが出来ます。
そこでもう一度可視光線に戻って見てみると、従来光源である白熱灯は可視光線の中でも赤や黄色の波長をたくさん含む光源なので体に効果的な要素を含んでいるのです。赤外線もたくさん含まれるためその熱が地球温暖化に影響を与えていると言われていますが、赤外線や遠赤外線は人間の血流を促進し血液が澱むことから起きる病気の抑制や細胞の活性化に寄与するのです。又温かいイメージの光は寛ぎや癒し、リラックス効果などと関係が深いので優しい光であることは皆様の良く知る所だろうと思います。
白熱電球と蛍光灯のエネルギーの違い
一方従来光源の蛍光灯は紫や青の波長をたくさん含み、その発光原理から紫外線によって明るさを生む方式であるため、可視光線の中でも短波長の電磁波に偏った性能であると言えます。体にとって悪いとまでは言いませんが刺激的な光であると言えるでしょう。
ではLEDなどの電界と呼ばれる半導体の光源はどうかというと、可視光線の幅ギリギリのエネルギーを持っていると言えます。利点としては赤外線や紫外線はほとんどありませんので、光は熱を持っておらず紫外線による物の劣化も起きにくい光源であります。しかし短所としては可視光線の両端に当たる赤や紫の成分が少ないため、色彩を正しく判断する演色性に乏しくなると言われています。さらに特徴として青色発光ダイオードが主体に発光しますのでブルーライトと呼ばれる刺激的な光が出てくるため使い方に注意が必要になります。ブルーライトについては別の回にテーマとして取り上げる予定です
LEDのエネルギー分布 ブルーの成分が強い
以上のように電磁波の分布(スペクトル)が分かっていると様々な光源の使い分けが出来るようになりますので皆様の身体や眼の健康に役立つのではないかと思っています。
(次回もお楽しみに)
(文/河原武儀氏)
和風照明器具のミヤコアンドン 都行燈株式会社
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