2-2光源について【光源は次第に明るく白くなっている】

都行燈HD Floor 光源について

2-2 光源について    【光源は次第に明るく白くなっている】

  古代からの光源を思い起こしてみると、次第に明るくなっていることに気付くと思います。それだけでは無く、次第に白くなっていることも注意しなければなりません。古代はもちろん燃焼光源で、松明(たいまつ)のように木々を燃やして明るさを採っていました。家屋の中では松明は無理なので夜になれば住居と呼ばれる場所は暗く、日が昇るまでは寝るしかなかったのだと思います。そして中世ではろうそくや魚の油が使われ、住居の中でも作業が出来るようになりました。その状態は明治の終期まで続き、大正時代からエジソンらにより白熱灯が生まれ一気に明るさが夜を支配するようになったわけです。さらに昭和15年より蛍光灯がアメリカより輸入され、まるで昼のような状況に夜が変化してきたわけです。2010年(今から10年前)にはLEDの照明器具がお目見えし、1Wに対する明るさは格段に向上しました。そしてその光の色も青に近い白が出せるようになり、日中と変わらない状況を生み出すことが出来ています。

光源の歴史  光源の歴史は次第に明るさと白さが増している

 

これは夜の在り方が寝るしかなかった古代と比べ、格段に作業が進歩する効率を人間に与えてくれた恩恵でもありますが、反面これで良いのだろうかと考える時期に来ていると思います。明るさに関していえば、「明る過ぎると眼が退化する」と言われています。暗いと眼が悪くなるのではなく、明るいと眼が悪くなるのです。江戸時代以前の人は視力がとても良かったと記されていますし、オスマン・サンコンさんがアフリカでは6.0あった視力が、日本に来て2.0に落ち込んだとテレビでお話しされていたのを思い出します。今、人間は暗い所で物を見る力が衰えているのです。近視や鳥目の方が猛烈に増えているのです。特に日本人は夜蛍光灯の白い光で過ごした高度成長期が長かったこともあり、眼鏡やコンタクトを入れている若者が多いように感じます(ファッションもあるかも知れませんが)。

また、光の色が白くなると脳から出る「メラトニン」というホルモンが、24時間のリズムを狂わせ夜眠れなくなる不眠症を誘発する医学の報告が実在します。この生体リズムについては別の機会に対策を書こうと思っていますが、夜はある程度暗く電球色系の暖かい光が求められている時代に突入したと言わざるを得ません。

都行燈HD Floor 優しい光だがテーブルは十分明るくなる

LEDでも電球色を選ぶことが出来ますので、強い明るさに注意して使うべきなのだと思います。和風照明は程よい明るさが得られ、和紙を透過した光などは柔らかい光となるので、人間に優しい照明器具だと世界中から評価されていることに注目して欲しいと常に考えています。

食事の時や読書などは明るい必要がありますが、その他の場所は程よい明るさがあれば煌々と明るくする必要はないのです。部分的に明るくすると言う方法を今こそ選ぶべきだと私は思っています。和風照明のファンになった私の理由もそんなところにあるのだろうと思います。

(次回もお楽しみに)

(文/河原武儀氏)



和風照明器具のミヤコアンドン 都行燈株式会社
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