4-1 部屋別の照明器具の選び方 【リビング・イコール・シーリングライト?】
リビングルームに相応しい照明器具はシーリングライトだと思っている方は大変多いと感じます。勿論好みの問題があるのでシーリングライトは選んではいけない訳ではありません。しかしシーリングライトは高度成長期の産物でオフィスや学校の延長線上にあった住宅照明時代に好まれた照明手法です。将に一室一灯の日本の住宅にベストマッチしていた照明器具であると思います。さらに照明メーカーとしては、埋め込みローゼットに自分で取り付けられ、取り付け場所を特定することなく部屋全体を均一に明るく出来るので、サークライン(蛍光灯)からLEDに比較的早い段階で変更され、リモコンで明るさと色味(光色)を変化させる機能を盛り込んで大成功を果たしました。機能的な付加価値は多くの日本人が好きな部分でもあるので普及してしまったのです。
ところが住宅の各部屋の中でリビングは最も低い位置にテーブルやソファがあり天井から遠いのです(ダイニングテーブルの方が高く天井に近い)。結果として現状のシーリングライトは異常なハイパワーです。平面図でプランしていると高さの情報が無いので頭の中でハイパワーに満足してしまう訳です。シーリングライトはリビングではなく子供部屋や書斎、家事室等に向いた器具なのです。
リビングで重要なことは、ソファに座った時に見える正面の壁が明るくなっているかどうかです。床は明るくする必要はありません。正面の壁はサイドボードなど物が置かれていることが多いので、壁面照明などという大袈裟なことは考えず、絵画や写真を照らすという「部分照明」で良いのです。趣味の棚を作ってそこに光を当てるのも悪くありませんね。私は写真を撮るのが趣味なのでA4位の額入り写真と大切なカメラを置いた棚を飾りたいですね。それがリビングのポイントになるのです。均一な光のシーリングライトよりずっと明るい感じになりますよ!
では、その光を当てるのにどうしたら良いでしょう。私はLEDのスポットライトを使うと良いと思っています。天井には配線ダクト(ダクトレールともいう)を設置してそこに1台~3台ほど設置するだけ。配線ダクトは設置工事が必要ですが、最近は埋め込みローゼットに自分で取り付けられる簡易型配線ダクトが各社から出ています。スポットの設置に工事は不要なので1台ずつ購入してもOKですよ。
正面に見える壁は窓だったりもします。その時は是非カーテンを照らしてください。LEDのカーテンライト(テープライト)も販売されておりカーテンの色と柄が楽しめます。配線ダクトやカーテンライトが設置不可能な場合は、出来るだけ壁の近くにダウンライトを設置しても同様なことが出来ます。
次にリビングで重要なことは手元の灯りです。リビングテーブルは明るくなっていた方が何をするにも良いのでスタンドやダウンライトでほんのり明るくしてみてはどうでしょうか。特に高齢者がおられるリビングには欠かせない照明です。行燈のような柔らかい光でも手元に近いので文字が良く見えます。
「正面の壁」と「手元の灯り」、これがリビングを快適に過ごすコツであると思っています。
(次回もお楽しみに)
(文/河原武儀氏)
和風照明器具のミヤコアンドン 都行燈株式会社
Japanese lamp atelier
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