3-1 照明器具
【照明器具は光の高さで選ぶ】
住宅の照明器具を選ぶ時、器具のデザインで選ぶことが多いと思いませんか?
例えば「天井がすっきりしていた方が好きなので、出っ張りが無いダウンライトやシーリングライトにしよう」、とか。「クラッシックなインテリアにしたいので、シャンデリアにしよう」、など。どうしても形にこだわることが多いですよね。しかし、もっと重要なことは、その光がどこを照らすか、ということなのです。照明器具が取り付けられている場所を分類すると、天井、壁、床の3つですよね。そして日本は圧倒的に天井に付いている器具が多いのです。天井に付いているということは床を照らすことになります。しかし床を照らすのであれば、壁や床にあった方が光が近いので床はより明るくなりますよね。このことが多くの外国と日本の大きな違いになっています。特に欧米の住宅は天井が石造りで天井裏に配線を這わすことが出来なかったり、天井高が日本と比べて非常に高いので天井付けは床まで光が届かないのです。仕方なく天井以外の壁付けのブラケットや床に置くスタンドが使われているのです。
でもこのことが実は壁を明るくし、空間を広々と見せる長所として表れているのです。
照明器具の種類
日本の場合は天井付けが多いため、床まで光を届かすのにハイパワーが必要だったり、頭の真上から光が落ちてくるので学校や職場と同じ落ち着かない照明になってしまい、空間を狭く感じさせているのです。
この天井から照明する方法を「水平面照明(器具)」と呼んでいます。一方、壁に付けるブラケットやスタンドなどを「鉛直面照明(器具)」と呼び(壁が明るくなるという方法)、光の高さがより低い位置にあるのでリラックス度が高いといえるのです。これは良く人間の姿勢に例えられます。例えば人間が立っている時はリラックス出来ませんよね。しかし椅子に座ったり、畳に寝転んだりして目の位置が低くなると身体はよりリラックスしますね。明かりも全く同じなのです。
照明器具の取り付け位置で光の高さが異なる
そこで、もう想像がついたと思いますが床置きスタンドは最もリラックスできる照明器具だとご理解いただけると思います。昔の例で言うと焚火や火鉢がリラックスできる効果があった訳です。またその中間にあるのがブラケットやペンダントであることも納得がいくのではないかと思います。好きなデザインで器具を選ぶことは重要だと思いますが、その前にこの光の高さを考えて選ぶことが最良な方法だと私は思います。
ブラケットは壁が明るくなり奥行きを感じさせる
昭和の時代は日本の住宅の天井高はとても低かったので、天井付けのシーリングライトでも何とか手元を明るく出来ましたが、最近はマンションでも天井高が高くなり、諸外国に近づいてきましたので天井からハイパワーの光を床に向かって出すことはあまり好ましい方法ではなくなってきています。これからは積極的にスタンドやペンダント、またブラケット等も使っていく時代になったと言っても過言ではないでしょう。
(次回もお楽しみに)
(文/河原武儀氏)
和風照明器具のミヤコアンドン 都行燈株式会社
Japanese lamp atelier
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