2-3 光源について
【LED光源の性質を知ろう】
今回はLED光源についてあまり語られていないことをお知らせしましょう。
まず白熱灯と同じ点光源に属しますので白熱灯の長所を持っています。点光源は物に光として当たった場合、陰影がしっかり出るのでディテールが綺麗に出てフォルムがはっきりと浮かびます。また同時にテクスチュアの表現力が豊かなので、インテリアを美しく見せるには最適な光源であると考えます。したがって相応しい照明器具としてはダウンライトやスポットライトのような一方向に光が出るものに向いていたため、LED照明器具が初めてお目見えした時にダウンライトやスポットライトがどんどん開発され、各照明メーカーは競ってダウンライト等の性能(明るさや光色)に明け暮れた日々が続きました。その名残から現在でも照明メーカーのカタログは圧倒的にダウンライトやスポットライトの量が多いのではないかと思います。
LEDチップから光が一方向に出る
しかし、その他の照明器具を開発する時に障害になったのは、①面光源(蛍光灯など)をLED化し難い。 ②スタンドなどに代表される拡散光が出し難い、という問題でした。
①の面光源の代表として丸形のシーリングライトが日本ではリビングの主力照明であったため、LEDの粒をたくさん並べると言う手法で開発したのですが、ハイパワーを出すため相当多くの粒を並べる必要があり、蛍光灯と比べてさほど省エネにならなかったことやランプ交換が出来ないのでLEDの寿命が照明器具の寿命になってしまうという問題点を今でも抱えています。
②の全方向に拡散出来ないという性質はLEDの不得意な事として、ペンダント、スタンド、ブラケット等の開発が最も遅れている原因になっています。私がお勧めする和風照明器具はこの拡散光を生かしたものが多いため、総合照明器具メーカーのカタログでは隅の方へ追いやられているのです。もちろん電球型のLEDが売られているので白熱灯のソケットにこれを入れればLED化は出来るのですが、電球の内部の基盤に粒が並べられているので、横方向や後ろ方向は明るさが激減してまんべんなく光が拡散すると言う訳ではないのです。白熱電球と全く同じ光が出ると言うには無理があると思います。
LEDはこのようなまんべんなく光が出る器具には苦手
しかし白熱電球より優れていることとして表面はほとんど熱がありません。物体の温度しかないので、次回ご案内する自分で行燈を製作する時は和紙が燃えたり木が焦げたりしないのでLED電球は安全に使えるというメリットがあります。LEDの特徴として個体発光なので素子そのものは発熱がありません。しかし基盤の裏は点灯時間が長くなると手を火傷するほど熱くなるので、裏側を触らないようにする必要があります。LED電球は裏側に当たる部分は「ヒートシンク」と呼んでいる金属やセラミック素材で放熱をする仕組みになっています。ランプのソケット側は触らない方がより安全に使えると思います。
ガラスの下にある基盤にLEDの粒が並んでいる
又ランプ寿命は白熱電球の3ヶ月程度に対して10年と言われていますので圧倒的に交換が不要であると言えます。ただし白熱灯や蛍光灯の従来光源とは寿命の考え方が異なりますので注意が必要です。従来光源はプツッ!と切れるのが寿命ですがLEDは半導体の為切れることがありません。そこで70%に明るさが減った所を寿命と定義しているのです。しかしいつ70%になったかが分かりにくいのです。毎日使っているとその明るさに眼が順応していきますので全く気付かず50%に明るさが落ちていることがあり得るわけです。10年の寿命があると言うのは実験上の平均値ですから1年で70%に落ちるかもしれませんし、20年も点灯し続けることもある訳です。
新しい光源は新しい使い方が必要な時代であると思わざるを得ませんね。
(次回もお楽しみに)
(文/河原武儀氏)
和風照明器具のミヤコアンドン 都行燈株式会社
Japanese lamp atelier
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